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クローバーの幻
306223.jpg

Photo by albireo






遠い記憶の中の

        緑の草原で

             いつも探していた

                      四葉のクローバー

   今は思い出の中だけに

            どこまでも続く

                    クローバーの草原


           あれは幼い日に見た

                        夢だったのだろうか





・・お客さん、お客さん?

私は誰かに声をかけられて、ハッと我に返った。

そうだった。ここは、雑貨屋の中だった。



その日、珍しく仕事を早く終わらせる事ができた私は、久しぶりに歩いて帰ってみようと思い立ったのだった。

いつもはバスで通る道も、歩いて通ると違った道に見えてくる。

あぁ、この町は、こんな表情をしていたんだ...と新鮮な気持に嬉しくなりながら、私は歩を進めた。

そんな中、ふと、路地の奥に、アンティークな感じが漂う雑貨屋を見つけたのだ。

何だか、懐かしい・・・私は少し、興味がわいて、その店に入ってみることにした。

「いらっしゃいませ」

店は狭く、すぐカウンターがあり、店主が静かに迎えてくれた。

私は軽く会釈だけして、見学させて欲しい旨を伝え、ゆっくりと店内を見回した。

「どうぞ、ごゆっくり」

店主は、カウンターの奥に消え、店内は私だけになった。

路地の奥だというのに、夕焼けの光がまぶしい。

遠くに大通りが見えており、人通りの激しさが伺えた。

私は、なんとも言えない心地良さを感じながら、ゆっくりと店内を物色し始めた。

それにしても、なんて趣味の良い雑貨屋なのだろう・・・

私は普段、雑貨や小物にはあまり興味が無いのだが、今日は不思議とそれらの物を一つ一つ手に取ってみたくなったし、また、それらがとても愛しい物のように思えた。

と、そんな雑貨たちの中で一つの万華鏡が目に付いた。

私は迷うことなくその万華鏡を手にとり、中を覗いてみたのだ。

どうも緑色のガラスをメインにして作られた物であるようだ。

中には一面に光が溢れている。

万華鏡なんて、もう何十年も覗いたことなど無かったなぁ。

こんなにも面白い物だったっけ・・

私は、様々な緑色のガラスの破片が織り成す光の幻影を飽きることなく眺めた。

クルクル

   クルクル





その時!

私はふと、あの懐かしいニオイを嗅いだのだ。

そう。あのシロツメクサのニオイ。

「あ・・・」

私は愕然となった。

なんということだろう?

私はいつの間にか、一面に広がるクローバーの中に佇んでいたのだ。

「なぜ?」

ここは、どこだ?

私は混乱した。

私は、雑貨屋の店内にいたはずではないか?

この一面のクローバーは?

一体・・?



しかし、私はその答えを見つける事もなく、遠くで揺れる小さな影に気がついてしまった。

その影は確かにこちらに向かい、大きく腕を振っているように見える。

私を呼んでいるのだろうか?

それにしても、あれは、誰だろう?

私はその影に向かい、歩き始めた。

しかし、その距離は全然縮まらない。

影は手を振っている

なぜ?

なぜ?

なぜ、そんなにも嬉しそうに腕を振っている?

なぜ、そんなにも嬉しそうに私を呼んでいる?

私に何を伝えたい?

そこに、何があるのだ?

私は限りなく広がるクローバーの中、すでに走り出していた。

もどかしい。

なぜ、あの影との距離が縮まらないのだ?

なぜ?

私は、何かを思い出そうとしていた。

あの影は誰?

あの影は何をしている?

こんなクローバーの中で、一体何を?



その時。

私は。

確かに聞いた・・・



ミツケタデェ



あれは!あの影は!そう!

私はその影に向かい大声で何かを叫んだ。

私は知っている。

忘れるはずが無い。



なんてもどかしいんだ。

私は、もっと早く走ろうともがいた。



どうして、あそこに辿り着かない?

辿り着けない?

「・・・・!」



・・お客さん、お客さん?

私は誰かに声をかけられて、ハッと我に返った。

そこは、あの雑貨屋の中だった。

店主がカウンターから出てきており、私の顔を覗き込んでいた。

「お客さん、大丈夫かい?」



私は、何が起きたのかを理解できず、声を出すことすら出来なかった。

「お客さん、その万華鏡と波長が合っちゃったのかい?」

そう店主が笑い、私の手から万華鏡をそっと取り上げた。

「・・・今日のところは、お帰りになった方がよろしいかも知れませんね。」

「・・・」

「また、次の機会にでも、おいでなさいな。」

「・・・」

「万華鏡は、たまに、そういうイタズラをするのです。夢か記憶か・・それは、私には分かりません」

店主はそのように言いながら、私を外まで促してくれた。

「それでは、またのお越しをお待ちいたしております」

・・・ハイ

私は多分、返事をしたように思う。

ゆっくりと、店主に会釈をし、その店を後にした。

店の外に出ても、私はまだ、この夕暮れ時の空気となじめないでいる自分を感じていた。

路地を進む足取りは、フラフラとして、まるで幻想の跡を確かめるような感じだった。



しかし、それも、大通りに出るまでの事。

大通りに出てしまうと、人通りが増え、騒音の波がドッと押し寄せてきた。

ムワッと道路から立ち上る熱気がうっとうしい。

私は、少し後ろ髪を引かれる思いを残しながらも、いつもの自分に戻っていくのを感じていた。

ゆっくり・・ゆっくりと。



あれは、夢だったのだろうか?






これは、albireoさんのブログにトラバしています
『クローバー』

albireoさ~ん、ついにUPしてみました☆
ありがとうございます
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物語 | 00:56:28 | Trackback(0) | Comments(5)
コメント
裏ブログ、開設おめでとうございます!

すごく、嬉しいです。ありがとうございました。
画像?ナナさんなら、画像でも何でも、ご自由にお使い下さい!全然、問題ありません。

beerさんのTBの詩も、拝見して来ました。
すごくいいですよ!暗くなんかないし。
「晴れた日も雨の日も、私はどっちだって好き」
僕は、本当にそうなんですよ。

ナナさんファンとしては、また楽しみが増えますが、あまり無理はしないように!
あっ、マイペース主義でしたね。
それなら大丈夫。
2005-06-14 火 01:44:31 | URL | albireo [編集]
>albireoさんへ
早速遊びに来てくださって、ありがとうございます☆

以前、ブログを引っ越す際に、比較検討するため、ここのブログも一応開設はしていたのですが、記事はUPしていなかったのです。

以前から、人様の記事に対するトラバに関しては、何かしら別の場所が欲しいと思っていたので、この際、ここを利用してみることにしました。

ここは、裏ですし、トラバ専用です。
ですから、わっぜマイペースなのですよ!(おっと、かごんま弁が!)

これからも、よろしくお願いいたします。
2005-06-14 火 02:07:24 | URL | ナナ [編集]
albireoさんとのコラボですね。
いやなんとも最高です。
物語なのかナナさんの経験なのかが。
このしゃしんは拝見させて貰っていたのですが、ナナさんの文章が繋がるとなおさら素敵ですね。なんか不思議の国に迷い込んだかのようで現実を忘れながら読めました。
ナナさんやっぱ文才ありますよね。
マイペースに頑張って下さいね。
2005-06-14 火 12:23:20 | URL | beer [編集]
beerさんへ
ありがとうございます☆
この記事は、以前、albireoさんの記事に、インスピを受けてひっそりと公開していたものなんです
それを、今回、あらためて、こういう形にしました。
このシロツメクサの写真と詩が、大好きだったんだ。

こういう事って、ブログならではですよね。

この裏ブログで、これからも、少しずつ何か創作していきたいと企んでいます☆
2005-06-15 水 01:12:35 | URL | ナナ [編集]
もう感想書けないです。ナナさんんの作った世界にはまってしまいました。超特大nice!を捧げます。
2005-06-17 金 12:02:39 | URL | Gotton Factory [編集]
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